15: ◆kBqQfBrAQE[sage saga]
2021/12/26(日) 23:18:57.52 ID:4Xl2PJ5H0
紺の暖簾に白抜きで書かれた五文字と、卵でとじたカツのイラストを描く立て看板がネイチャを誘った。トレーナーへすぐに仕返しできないフラストレーションを昇華したいという気持ちもあったのか、彼女は食べ応えのあるモノを食べたかった。そこに、油っ気のある香ばしい匂いが漂うと、ネイチャの気持ちを一層誘った。
ネイチャは暖簾をくぐり、木戸をガラガラと引いて中へ入った。
「いらっしゃい。お一人ですか? こちらへどうぞ」
カウンターの向こうで調理をしながら、若い女性の女将がネイチャに声をかけた。
世間はまだ昼には早かったか、L字のカウンターしかない店内には2人の客だけである。客はネイチャだと認めたようで、「おお、ねーちゃんだ」と声をかけると、ネイチャも会釈して応えた。
店内は十人座れるかどうかの狭い店住まいであり、書き入れ時はすし詰めになることが容易に想像できる。電球が灯る店内は、あまり明るいとは言えないが、不思議と居心地がよい。ネイチャにとっては、壁に真新しい例のポスターが貼られていることを除けば、ではあるが。
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