【ミリマスSS】あわてんぼうのサンタクロース【箱崎星梨花、三浦あずさ】
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[sage saga]
2021/12/24(金) 21:40:53.40 ID:J1wXT9tF0
『ちょっと近くを散策してきますね〜♪』とか『初めての街って、ワクワクします!』とか言いながら歩き出していく女性と少女、三浦あずささんと箱崎星梨花を能天気に送り出した20分前の自分に説教をしてやりたい。
あずささんに電話をかけてみたが、出る気配は無い。
星梨花のスマートフォンは俺が預かっている鞄の中みたいだし、これはやはり自分の足で探しに行くしかないようだ。
というわけで、コートを小脇に抱えながらスーツ姿で街を駆けているのが今の状況だ。
冷えた体を温めるのにちょうどいいな、なんて思う辺り、我ながら能天気な性分である。
「あわてんぼうのサンタクロース♪」
「クリスマスまえにやってきた♪」
30分くらい辺りを走ってからだろうか。
どこからか、聞き慣れた歌声が聞こえてきた。
うっとりするほど綺麗な歌声と、思わず顔が綻んでしまう可愛らしい歌声。
朝の閑静な住宅街に響くハーモニーを辿っていくと、比較的開けた場所に出た。
ここは・・・どうやら児童養護施設のようだ。
門の外からそっと庭を覗くと、
「「りんりんりん♪りんりんりん♪りんりんりん♪」」
あずささんと星梨花が、子供達に囲まれながら楽しそうに歌っていた。
あずささんと星梨花、それを囲む子供達の笑顔は、やっと顔を出した太陽に照らされてキラキラと輝いている。
「あっ♪プロデューサーさん!」
歌い終えた星梨花が俺に気付き、満面の笑みで駆け寄ってくる。
「あっ・・・すいません、プロデューサーさん。連絡を差し上げるべきでしたね〜」
あずささんも気付いて、申し訳そうな表情をしていた。
「いや、それはいいんですけど・・・えーと?」
とにかく、まだイマイチ状況が飲み込めていない。
施設の職員であろう女性がいたので目を合わせてみたが、ニコニコとしており特に迷惑そうな様子は見えないので、とりあえずは安心する。
「あずささんと迷子になっていたら、ここでみんなが歌っているのが見えたんです!それで、せっかくだからいっしょに歌わせてもらおうってなって♪」
星梨花が、あずささんを囲む10人程の子供達へ笑いかけると、子供達も元気いっぱいな笑顔を返す。
あずささんも子供達にひっしと抱きつかれていて、困った半分嬉しい半分といった表情を見せていた。
まだ出会って一時間も経っていないであろうに、随分と仲良くなっているようだ。
さすが、弊事務所きっての癒し系コンビだな。
「・・・ねえねえ、おにいちゃんも、うたがじょうずなの?」
気付くと、小さな男の子が傍らに来て、無邪気な瞳で見つめていた。
「ふふふ・・・そうだな、それは聞いてのお楽しみだ」
よーし、星梨花をして『ジュニオールが歌っているみたいで、すごいです!』と言わしめた俺の歌声を披露してやろうじゃないか。
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