【ミリマスSS】あわてんぼうのサンタクロース【箱崎星梨花、三浦あずさ】
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13: ◆p1Hb2U6W8I[sage saga]
2021/12/24(金) 21:51:00.35 ID:J1wXT9tF0
「すいません、あずささん。グダグダになってしまって・・・俺がもっとちゃんと準備していれば良かったんですが・・・」

「いえいえ、結果的に笑顔に出来たんですから、一緒に誇りましょう」

いつも通り星梨花を囲む子供達の笑い声に、聞き慣れない声が一つ加わっていた。
あれだけ暗い顔で塞ぎ込んでいた男の子が、あんなに元気な笑顔を見せるようになるとは。何がきっかけとなるのか、世の中は分からないものだな。
箱崎さんは、そんな星梨花達を微笑ましそうに見つめている。

「笑わせたというより笑われた、という感じでしたね」

部屋の壁にもたれかかりながら、あずささんへ苦笑いを向ける。

「ですね〜。でも、いいじゃないですか」

そんな俺に対して、あずささんは我が子を思う母親のような優しい笑顔を返してくれた。

「少なくとも、勇気を出して行動したからこそ、今があるんですから」

「・・・ははは、ですね!」

「ですよ〜、うふふっ♪」

そうやって、あずささんと笑い合っていると、

「ねえ」

いつのまにか俺達の近くへ寄ってきていた男の子に話しかけられる。
その顔は、満面の笑みを湛えていた。本来はこんなによく笑う子だったんだな、と思うと、ちょっと目頭が熱くなってしまう。

「なんか、おにいちゃんとおねえちゃんって、おとうさんとおかあさんみたいだよね」

「「えっ」」

無邪気な笑顔とともに発されたその言葉に、あずささんと二人で思わず声を上げてしまった。

「あ、あらあら、プロデューサーさんと夫婦だなんて・・・」

「そ、そうですよ!ははは!」

顔を赤くして狼狽えだすあずささんと、どう対処したらいいか分かっていない俺。

「私は、その・・・全然構わないんですけど、プロデューサーさんは困ってしまいますよね・・・ね?」

上目遣いでそう尋ねられて、俺の理性が緊急警報を鳴らし始める。
やばい。
さっきから、『ゴールイン』という言葉が頭から離れてくれない。

「お、俺は・・・」

「だ、ダメです!」

助け舟は意外なところから来た。
焦った表情で星梨花が俺に駆け寄ってくる。
なんとか窮地を脱せそうだったが、星梨花の言葉の内容が解せない。

「えーと・・・何がダメなんだ、星梨花?」

「だって」

そう言いながら、星梨花は俺の腕にぎゅむっと抱きついてくる。

「プロデューサーさんは、わたしのお婿さん第一候補ですから!」

「えっ!?」

「はっ!?」

俺が出した驚きの声は、さらに大きな野太い声にかき消されてしまった。
口をあんぐりと開いて微動だにしない、箱崎さんこと星梨花のお父さん。
人間の口ってあんなに開けるんだね。
すごい。

「私、運命の人についてよく占うんですけど、すぐ近くにいるっていう結果がいつも出るんです。それってつまりそういうことなのかなって・・・」

モジモジとしながら、チラチラと俺の顔を窺うあずささん。

「むーっ!プロデューサーさん、まだ結婚しないって言ってましたよね!わたしが大人になるまで待ってくれないと困ります!」

頬を膨らませながら、俺の腕を強く抱きしめる星梨花。

「えーと・・・うん、そうだな。ははは」

あまりにもな状況に、ただ俺は誤魔化して笑うことしか出来なかった。
まあ、可愛い二人に挟まれて幸せな聖夜を過ごしている、ということにするか。
うん、そういうことにしよう。


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