77: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:56:14.31 ID:86/EQe0g0
私は夕食の後、お父さんやお母さんにそれを出して見せた。
「チョコレート好きの凛が、和菓子とは珍しいな」
「今日、友達の家でもらって。せっかくだから」
「凛……これは……」
お母さんが、干菓子の入っていた紙包みのその和紙を丁寧に広げる。
あれ? なにか書いてある?
「今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出るつるかな……百人一首ね」
「うん。素性法師だな。……凛」
「え?」
「意味がわかるか?」
「えっと……ちょっとわからない」
お父さんとお母さんは、苦笑いして肩をすくめている。
え? なに? なに?
「これは……」
お母さんは、また紙に干菓子を包み直して私に押しつける。
「あなたがもらったものなんだから、あなたがいただきなさい」
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