66: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:48:26.18 ID:86/EQe0g0
「朋花です。ただいま戻りました〜」
彼女はそう言うと、門の中へと入っていく。
「と、朋花。朋花!」
「はい〜?」
私は朋花を必死で呼び止める。
「誰かそこにいるの?」
「誰か、って……誰もいませんよ〜?」
彼女は不思議そうにそう言うが、不思議なのは私の方だ。
「だって今、挨拶してたじゃない。誰かに」
「ああ〜」
朋花はまた、扇子で口元を覆いながら微笑んだ。
「別に誰かがいたから、挨拶をしたわけじゃありませんよ〜。誰いなくとも、己を弁え、誠実でいるのが礼ですからね〜」
そういうものだろうか。
今一つピンとはこないが、お母さんにいつも接客でお小言をいただく身としては、彼女の言うことが正しいのだろう。たぶん。
101Res/65.97 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20