45: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2021/12/20(月) 13:32:02.45 ID:86/EQe0g0
「なんか、ごめん。朋花」
店を出て、私は朋花に手を合わせる。
「凛さんのせいではありませんよ〜。それに色眼鏡で見られることには、私は慣れていますからね〜」
そう、不勉強な私は知らなかったが、やはり朋花は知る人ぞ知るというか、知る人は知っている存在なのだ。
そして私も同様に、会ったこともない人からも花屋の娘であることは知られているのだ。
華道の家元令嬢と、花屋の娘が連れだってやって来たのだ。そりゃあ店側も何事かと思ったのだろう。
立場が逆なら、私だって緊張しただろうし、わかっていればすぐさまお父さんかお母さんを呼んだと思う。
ただ――
「気軽に花を見たかっただけなんだよね……」
私の独り言に、朋花は別に返事はしなかったけれど、少し寂しそうな表情をしていた。
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