【コンマ】ウマ娘とトレーナーがラーメンを食べに行くだけのスレ
1- 20
66:名無しNIPPER[saga]
2022/01/09(日) 22:12:47.35 ID:/CyxYZTNO

店の前には数人ほどの列ができていた。振り向くとハリィが険しい顔をしている。

「あれで作っているのでなければ、何のためにあの缶はあるのだ」

「昔の名残だよ。遥か昔、数十年前にこの店のルーツができた時には、実際にドラム缶を寸胴代わりにしていたらしいな。
元々、この店は旭川にあった。そして初代の親父の息子たちが、札幌と六本木に店を出したってわけだ」

パン、とファインモーションが手を叩いた。

「だからお店の名前が同じなんだね!ドラム缶を見て、思い出したよ」

「そういうことだ。ただ、味は少し違うらしいが」

横のバクシンオーがソワソワと落ち着かない様子で店内を見ている。

「トレーナーさん!私、お腹が空きました!お勧めは何ですか?」

「えっと、醤油も味噌もあるねー。確か、札幌で食べた時は味噌だったかな」

そう言うファインモーションに、私は微笑みながら首を横に振る。

「六本木の天鳳では、ほとんどの客が『135』を注文するな」

「……135?」

「うむ、135というのは……っと、席が空いたようだ」

テーブル席に通されると、周囲の目線が一斉にこちらに向いた。見目麗しいウマ娘3人に、屈強なスキンヘッドの大男とくれば嫌でも目立つ。
そこにハリィが鋭い眼光で客を睨むと、視線が逸れて行くのが分かった。なるほど、令嬢の護衛には確かに向いた人物らしい。

向こうから東南アジア系と思われる店員がやってきた。

「ゴ注文は」

「135大盛り、それにライスを。君たちは?」

「トレーナーさんと同じのにします!」

「私もそうするよー」

ハリィは暫し黙った後、「殿下と同じもので」と不機嫌そうに言った。

「それで、135って何なの?」

「メニューにも書いてあるが、醤油ラーメンの『麺硬め』『油多め』『しょっぱめ』を指す。
これよりさらに味が濃く、油っぽく、しょっぱい『めんばり』もあるが、こちらの方が万人向けだ」

ハリィが私を不満そうに見ている。

「そんな健康に悪そうなものを、よく殿下に食わせようとしているな」

「これは『チートデイ』だ。健康に悪い、大いに結構。ただ旨ければいい。
ファインモーション君も、うちのバクシンオーも私も、日々激しいトレーニングを行っている。旨いものを好きなだけ食うことが、何よりのストレス解消になるのだよ。
そして、旨いものは健康には必ずしも良くはない」

私は静かにハリィに微笑んだ。

「そして、トレーニングを熱心に行っているのは、君もじゃないかね?その鍛え上げられた肉体を見れば分かる。
君にとっても、この店はチートデイにはもってこいだと思うが」

「……不味かったら承知せんぞ」

そう言う彼女の前に、丼が置かれた。

「135とライスデス」



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
718Res/329.31 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice