【コンマ】ウマ娘とトレーナーがラーメンを食べに行くだけのスレ
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482: ◆/4adlfiarI[saga]
2022/04/03(日) 16:08:25.74 ID:zQMZB3APO

「見た目を妙にすりゃいいってもんじゃねえだろ」

「だが、型に囚われない料理こそラーメンだ。無限の自由が許されているからこそ、私はこの料理が好きなのだよ」

シリウスシンボリは軽く目を見開き、ニヤリと笑った。

「……なるほど、そう来たか」

彼女が私を試しているのは何となく分かった。要は、信頼に足る人物かの最終チェックなのだ。
高級フレンチやイタリアンなど、彼女が恐らく最も嫌う類いのものだろう。
権威に寄りかからず、自由を誰よりも好む。そんな彼女の性格を鑑みれば、ここは最適のチョイスと言えた。

「とにかく食おう。麺が伸びる」

レンゲでスープをすくい、一口飲む。最初に感じたのは、蛤から来る貝の濃密な風味。それを煮干しの香りが追いかけ、鶏のコクが後に残る。
複雑だが、ボヤケてはいない。素晴らしいバランスだ。

そして麺を啜る。細麺ストレートで、パツパツとした噛みごたえ。スープとしっかり絡んでいる。


うむ、旨い。


パシーンッ!!


「うおっ!?ボタンが取れたぜ!?」

「気にするな、いつものことだ」

「いつもなのかよ……しかし、なかなか面白いな。幾つもの『香り』がここには封じ込められてる。いや、食感もか。
味の薄い山芋と蒲鉾が、いい箸休めになってやがる」

さすがに味には敏感であるらしい。私は小さく頷いた。
良いラーメンは、往々にして幾つもの要素が組み込まれているものだ。最初から最後まで同じ味で通すなら、余程の強い味が要る。
それを実現しているのは「伊吹」をはじめとした極一握りだ。ならば、複数の香りと味、そして食感を詰め込んだ方が近い。
とはいえ、それには高い技術が要る。この道もやはり険しいのだ。

低温調理の鶏チャーシューを口にする。これもしっかり味が乗っていて美味い。
そして蛤。やや小振りだが身がしっかりしていて、貝の風味をちゃんと味わえる。決して添え物ではなく、複数個乗っているのも良い。


気が付くと、一気呵成に丼は空になっていた。




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