【コンマ】ウマ娘とトレーナーがラーメンを食べに行くだけのスレ
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158:名無しNIPPER[saga]
2022/01/22(土) 23:17:15.63 ID:OR5k1JPSO

店内に入ると、どこか空気が肌に刺すような気がする。バクシンオーも気付いたのか、「どうしたことですか?」と訊いてきた。

「多分、あれだろうな」

ジャーという音と共に、唐辛子の入った鍋に油が注がれる。そこでカプサイシンが揮発しているのだ。パーマーが不安そうな顔になる。

「辛そう……」

「心配は無用だ。追加料金を払って『鬼』にしなければ」

「鬼?」

「激辛党のドトウ向けだな。私もさすがに頼まないよ」

待つこと数分。カウンター越しに、大盛りの麺とつけダレが供された。

「え……つけダレって、こんなのだっけ?」

塩田トレーナーが困惑気味に言う。タレの色は赤茶色で、ネギがたっぷり散らしてある。問題は、その粘度だ。

「ポタージュ……というか、ほぼ固形?」

「それがポイントだ。さて、頂こう」

極太麺を軽く浸すと、濃厚なつけダレがそれにしっかり絡み付く。
そして一気に啜ると、小麦の甘みが味噌の旨味と混ざって口の中に広がった。


「バックシーン!!!」


隣のバクシンオーは叫ぶと、猛烈な勢いで麺を啜り始めた。私のワイシャツのボタンも、パシーンッという音と共に弾ける。

「これはっ!?」

「え、美味しい……あ、確かにちょっと辛いけど、これなら食べられるかも」

パーマーも恐る恐る食べ始めた。私は微笑みながら頷き、自分の丼に取り掛かる。

麺と味噌の異なる甘みの後に、唐辛子の刺すような辛み。そして花椒の痺れが追い掛けてくる。
それを忘れんと次なる麺に箸を伸ばす。見事なループだ。

そして、つけダレの底には……

「むっ!?モヤシ炒め!?それに、これは……」

「アッツアツだよ!え、どうして……」

「ポイントはタレの粘度だよ。これがモヤシ炒めの熱さを保っているわけだ」

それを口にすると、野菜の甘みでさらに辛さが中和される。シャキシャキの玉葱の甘さも、単調になりがちな辛さにアクセントを加えてくれる。


そして、もう一つ。


「ムムッ!?これはなんですかトレーナーさん!?」

バクシンオーが箸で細長い具を見せてきた。

「ヤングコーンだよ」

「??」

「トウモロコシの小さいヤツだな」

この甘みも、さらなる変化をつけダレに加える。実によく考えられた一品だ。



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