【コンマ】ウマ娘とトレーナーがラーメンを食べに行くだけのスレ
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名無しNIPPER
[saga]
2022/01/22(土) 23:17:15.63 ID:OR5k1JPSO
店内に入ると、どこか空気が肌に刺すような気がする。バクシンオーも気付いたのか、「どうしたことですか?」と訊いてきた。
「多分、あれだろうな」
ジャーという音と共に、唐辛子の入った鍋に油が注がれる。そこでカプサイシンが揮発しているのだ。パーマーが不安そうな顔になる。
「辛そう……」
「心配は無用だ。追加料金を払って『鬼』にしなければ」
「鬼?」
「激辛党のドトウ向けだな。私もさすがに頼まないよ」
待つこと数分。カウンター越しに、大盛りの麺とつけダレが供された。
「え……つけダレって、こんなのだっけ?」
塩田トレーナーが困惑気味に言う。タレの色は赤茶色で、ネギがたっぷり散らしてある。問題は、その粘度だ。
「ポタージュ……というか、ほぼ固形?」
「それがポイントだ。さて、頂こう」
極太麺を軽く浸すと、濃厚なつけダレがそれにしっかり絡み付く。
そして一気に啜ると、小麦の甘みが味噌の旨味と混ざって口の中に広がった。
「バックシーン!!!」
隣のバクシンオーは叫ぶと、猛烈な勢いで麺を啜り始めた。私のワイシャツのボタンも、パシーンッという音と共に弾ける。
「これはっ!?」
「え、美味しい……あ、確かにちょっと辛いけど、これなら食べられるかも」
パーマーも恐る恐る食べ始めた。私は微笑みながら頷き、自分の丼に取り掛かる。
麺と味噌の異なる甘みの後に、唐辛子の刺すような辛み。そして花椒の痺れが追い掛けてくる。
それを忘れんと次なる麺に箸を伸ばす。見事なループだ。
そして、つけダレの底には……
「むっ!?モヤシ炒め!?それに、これは……」
「アッツアツだよ!え、どうして……」
「ポイントはタレの粘度だよ。これがモヤシ炒めの熱さを保っているわけだ」
それを口にすると、野菜の甘みでさらに辛さが中和される。シャキシャキの玉葱の甘さも、単調になりがちな辛さにアクセントを加えてくれる。
そして、もう一つ。
「ムムッ!?これはなんですかトレーナーさん!?」
バクシンオーが箸で細長い具を見せてきた。
「ヤングコーンだよ」
「??」
「トウモロコシの小さいヤツだな」
この甘みも、さらなる変化をつけダレに加える。実によく考えられた一品だ。
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