ボンドルド「少し、席を外しますよ」ベル・クラネル「え?」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2021/12/03(金) 22:37:54.94 ID:itDB2ts2O
「あたし、プルシュカ」
「君はボンドルドさんの……?」
「うん。あたしはパパの娘」
娘。その単語で少しだけほっとした。目の前の男がモンスターではない証明であるとベルはそう捉えた。故に、少しだけ警戒が緩む。
ベルは五層の番人である、黎明卿に尋ねた。
「ボンドルドさん。下に降りるには……?」
「ラストダイブに使う祭壇は"白笛"で起動するものです。白笛は本人でしか使えません」
ボンドルドが第六層への降下手段について説明した。白笛。それが必要らしい。当然ベルはそんなものを持っていない。だからこそ。
「部屋を用意しておきました。少し休まれて、考えを巡らせてみては如何でしょう? プルシュカ、案内出来ますね?」
「うん! こっち! ついてきて!」
「え? う、うわ! 引っ張らないで!?」
「早く早くぅ!」
プルシュカに引っ張られて部屋に連れて行かれるベル・クラネルの背中を。その背中に刻まれている恩恵という名の祝福を透かすように見つめながら、ボンドルドは独りごちる。
「是非、欲しい」
不穏なその呟きは、なきがらの海の波音にかき消されて、静かに消えた。夜明けは近い。
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