1: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/11/28(日) 06:49:56.39 ID:vPGydQ4T0
トレーナーの好みはアタシだった。
何もおかしいコトじゃない。
アタシは何でも一番なんだから。
強いウマ娘はたくさんいる。
美しいウマ娘、可憐なウマ娘、可愛らしいウマ娘もたくさんいる。
けどアタシが一番強い。
それでもアタシが一番魅力的。
そして――アイツのコトを一番好きなのはアタシ。誰よりも愛している。
そんなアタシがいつも隣りにいて、アタシに惚れないわけがない。
教え子に恋慕するなんて仕方のない奴。そう思っているのに鏡を見なくてもわかるほど、自分の頬がニヤけているのがわかる。
でも仕方ない、だって仕方ない、何もかもアイツが悪い。
トレーナーの好みは、このアタシなんだから。
「フンッフフ〜ン♪」
トレーナーの好みは自分だという自信はあった。アタシと出会う前の好みがアタシからかけ離れていても、このアタシと毎日顔を合わせているんだ。
年上や同年代、あるいは幼いタイプが好みであっても。
控えめな、もしくは自由奔放、あるいは捉えどころがない幻想的な性格が好みであっても。
そんなもの全て捻じ曲げて、ダイワスカーレットこそが好みだと矯正する自信があった。
けど今は違う。単なる自信ではなく、証言を伴う確信だ。思わず鼻歌が漏れてしまうのもしょうがない。
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2: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/11/28(日) 06:51:57.60 ID:vPGydQ4T0
――事の発端はこぼれる鼻血を必死になって抑えようとするウオッカを見つけたコトだ。
何事も一番を取る自分にとって、順序にこだわらないこの型破りは目障りで、目障りすぎて、どうしようもなく目を引き、自分の人生《レース》に多大な影響を与えたライバル。
あまり口に出してライバルとは言わないけれど、このダイワスカーレットを語る上で外せない存在なのだ。もう少しシャンとしてほしいという怒りがわいてくる。
3: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/11/28(日) 06:53:03.31 ID:vPGydQ4T0
「お、落ちつけってスカーレット。ショックなのはわかるけど、そんなに怒ったりしなくたっていいだろ?」
ああ、ウオッカ。アタシはアンタを勘違いしていた。
アンタもトレーナーの筆舌に尽くしがたい行為で心を痛めているのに、アタシを気遣ってくれるだなんて。
でも体を震わせて、顔を蒼ざめさせているその顔を見れば、心無いトレーナーたちの仕打ちにさらなる怒りを覚えるだけ。
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