3: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/11/28(日) 06:53:03.31 ID:vPGydQ4T0
「お、落ちつけってスカーレット。ショックなのはわかるけど、そんなに怒ったりしなくたっていいだろ?」
ああ、ウオッカ。アタシはアンタを勘違いしていた。
アンタもトレーナーの筆舌に尽くしがたい行為で心を痛めているのに、アタシを気遣ってくれるだなんて。
でも体を震わせて、顔を蒼ざめさせているその顔を見れば、心無いトレーナーたちの仕打ちにさらなる怒りを覚えるだけ。
「ねえウオッカ、教えて。アイツ等はどんな風に汚《きたな》らしい話をしてたの?」
「き、汚らしいって……いや勘弁してくれって。鼻血がまだ止まってねぇんだからさ」
「 い い か ら 」
「アッハイ」
ショックを受けているウオッカには悪いけど、事は急を要する。
「それがさあ、トレーナーの奴――――――――――」
ようやく話し出したウオッカは最初はしぶしぶと、しかしあるところを境に締まりのない顔になった。
どうしたのかと心配に思ったのだけど……
「――って言ったんだよ。そ、そんでさあ! アイツ、アイツさ! 普段観てる動画に出てくる女がさ、お前のトレーナーが指摘したんだけど……ヘヘッ」
「へえ……」
ポチャポチャと滴る音が響く中で、アタシの貸したハンカチが取り返しがつかなくなっていく。そんな事は気にも留まらないほどウオッカは満更でもない様子だ。
いがみ合うコトが多いとはいえ、これでも同室の友人である。その嬉しそうな様子を見ているうちに怒りは少しずつ収まり、そして――期待が高まってきた。
「……それでアイツは、アタシのトレーナーは何て言ってたの?」
「え? う、うん。いや、気を悪くすんなよ?」
「ふふっ。焦らさないでいいから教えてよ」
もし期待に反する内容なら、ただでは置かない。
でも期待通りの内容なら――――ふふ、やっぱりただじゃ置かない。
「それがさー、お前のトレーナーも普段観てる動画に出てくる女が、俺のトレーナーが言うには―――――――――」
そして、ウオッカから出てきた言葉は――――――――――嗚呼、やっぱりただじゃ置けなくなった。
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