72:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 23:15:41.25 ID:u50g9+A20
びっくりするぐらいの大声だった。
振り返ると、童顔な長髪の女性が、両手に腰を当てて、胸を張っていた。
同期のアイドルで、お姉さんの姫川友紀だった。
「バックには、あたしたちがついてるもんね!」
「そーでごぜーます!」
友紀だけでなかった、仁奈ちゃんに、そしてフレちゃんも。
「問題なしなしだよー。なにかあったらプロデューサーに頑張ってもらうしー」
「フレデリカ……適当なこと言って」
「仕方がないよプロデューサー。監督っていうのは責任取るのが仕事だもん」
「ちょっと友紀。アタシは監督じゃなくてプロデューサーです……まあ、言ってることは間違いでもないか」
「というわけで、監督の許可も出たし……奏ちゃん」
友紀が、私に向かって力強く言った。
「後ろは任せて。何かがあってもフォローしてみせるから。全員野球だよ!」
「奏おねーちゃんなら、絶対大丈夫ですよ」
「そうだよ。カナデちゃんなら……大丈夫だって! 多分だけど!」
「なにそれ」
みんなの応援は、なんだか気の抜けてしまいそうなくらいマイペースで、だというのに、胸の奥底が熱くなって。
私は、プロデューサーに向き直った。
「ええ、やってみるわ。プロデューサー。魅せてあげる。本当の私の魅力を」
プロデューサーは、頬を釣り上げた。
「分かった、奏。覚悟してあげる。奏も覚悟してくれたんならね」
85Res/117.90 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20