速水奏「文、奏でる」【モバマスSS】
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45:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 22:14:22.97 ID:u50g9+A20



 うんざりするほど続く暑さの中でも、日々は過ぎていく。

 学業は夏休みに入ったことによってひと段落したけど、レッスンは日々忙しさを増していった。

 仕事の方も、幸いにしてそれなりに頂いていた。

 ライブも、だんだんと近づいている。確かにソロの楽曲はないとはいえ、全体曲もあるし、それ以外でも。

 忙しい日々の中、自分のソロがないことも気にならなくなっていた。



 文香とは、あの日を境に少しだけ距離ができた。

 仲が悪くなったとか、そいうことではない。レッスンで一緒になることもあるし、そういうときにはよく話す。


 
 ただ、スマホでのメッセージの履歴は、簡単に見返せる程度になっていた。




 その日のレッスン終わり。いつもより厳しいレッスンであることに加えて、昨日は一日中ロケの仕事だった。

 体は思っていた以上に疲れていて、一人だけ、長くシャワーを体に浴びていた。滴る水滴は心地よく、少しでも自分の英気を養ってくれているように思えた。

 一人になった更衣室で、着替えを終えた後に備え付けのベンチで腰を下ろした。とたん、回復したはずの体力が再び減少するのを感じた。

 回復していたわけじゃなくて、のぼせて疲れがマヒしていただけか。

 すぐに立ち上がる気にはとてもでないがなれなくて、そのまましばらく体を休めてから、更衣室を出て廊下の自販機で飲み物を買った。それから、傍の休憩エリアのベンチに腰掛けた。

 やっぱり、思っていたより疲れているようだ。自己管理がなってないなんて、アイドル失格。

 窓の外に目を向けると、薄暗さを街が覆っていた。今日は一日中、曇り空だった。

 雨は、降っていなかった。



 私は誰に見せるわけでもなく、鼻を人差し指で軽く触った。





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