藤原肇「千夜さん、一緒に釣りに行きませんか?」
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75:名無しNIPPER
2021/10/30(土) 15:57:25.74 ID:/ZuqsV3u0
『ボーッと釣り糸を垂らす時間を、空虚だと言うつもりなんて無い』
『でも、空白を恐れるという千夜の価値観に、変化を与える外力には、なり得るんじゃないかな』
私からの相談を受けたPさんは、それとなくスケジュールを調整してくれました。
私と千夜さん、二人のオフがちょうど重なるように。
「千夜さんは、お休みの日は何をされているんですか?」
着替えを済ませ、レッスンルームを出ながら、それとなく聞いてみます。
千夜さんは少し考えて、答えました。
「黒埼家の屋敷に住んでいた時は、掃除をしていました」
――それは、以前の私なら、そこまで気にも留めなかった回答だったのかも知れません。
「好き、というわけではありません。むしろ苦手です」
ですが、離れて暮らしていてもなお、“今”ではなく、当時住んでいた黒埼家の事を第一声に答える千夜さん。
「まとまった時間が取れないと、細かい所まで行き届いた掃除ができなくて……だから、そういう作業に充てていました」
ちとせさんが聞けば、きっと悲しむ類いの回答であったのではと、思わずにはいられません。
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