藤原肇「千夜さん、一緒に釣りに行きませんか?」
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68:名無しNIPPER
2021/10/30(土) 15:38:37.20 ID:/ZuqsV3u0
「千夜さんには……引き取られた黒埼家に捨てられたくない、という焦燥が……?」
「うーん、そういうのはたぶん、無いかなぁ」
夕暮れ時の事務所のラウンジで、私の隣に座るちとせさんは、ボンヤリと頭を振りました。
「ただ、千夜ちゃんはとても気ぃ遣いで、献身的な子なの。
そう……惨たらしいとも思えちゃうくらいに」
ちとせさんの言葉遣いは、穏やかな仕草や語り口とは裏腹に、とても苛烈で、真に迫るものを感じさせました。
「あの子は、自分が無価値であると思い込んでいる。
黒埼家の従者として生きる使命を与えられた、その恩を返すことだけが、自分の存在理由なんだ、って。
でも……それにしか生きがいを見出せないなんて、そんなの悲しいでしょう?
それ以外の何物をも、欲しがらない、考えることができない……黒埼以外の誰とも繋がりを持てないなんて」
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