藤原肇「千夜さん、一緒に釣りに行きませんか?」
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50:名無しNIPPER
2021/10/30(土) 15:01:07.30 ID:/ZuqsV3u0
「えっ?」
「だから、竿が川に流されちゃったんです」
――やはり、この人は気ぃ遣いだな。
この日ずっと、私は一方的に良い思いをさせてもらってばかりいる。
「……いずれにせよ、喜ぶべきものとは思えません」
その思いやりを正面から受け止められず、つい照れ隠しで揶揄してしまう。
お嬢さまから移されてしまった、私の悪い癖だ。
そんな私に対し、肇さんが困ったように笑っていると、私の携帯が鳴った。
お嬢さまとアイツが、八王子での仕事を終え、こちらに向かっているらしい。
そろそろ到着するとのことだ。
「それと……何匹釣れた? と」
肇さんの方を伺うと、彼女は気恥ずかしそうに首をすくめた。
「あまり威張れる釣果ではありませんが……」
そう言って、彼女は自分の携帯を取り出す。
「写真、撮りませんか?」
「肇さんと私で、ですか?」
「はい」
肇さんは、魚が入ったクーラーボックスの方へ私を手招きした。
「二人でお魚を囲んで、Pさんとちとせさんに送りましょう」
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