藤原肇「千夜さん、一緒に釣りに行きませんか?」
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48:名無しNIPPER
2021/10/30(土) 14:57:57.64 ID:/ZuqsV3u0
「ふぅ……やりましたっ」

 どうにか逃がすことなく捕まえた魚は、素人目に見ても立派な大きさのものだった。
 先ほど肇さんに教わったヤマメとアマゴのどちらなのかは、分からない。

 健闘を称えると、肇さんは座りながら私に顔を向け、ニコリと笑った。

「おかげさまで、ボウズにならずに済みました」

 ――ボウズ?

 何のことだろう。また私の聞き間違いか?
 それとも、まさか一匹も取れなかった場合の罰ゲーム――。

「……あっ!」
「えっ?」


 ふと驚く肇さんの視線の先へと振り返ると――。


「あっ! わ、私の竿が……!」


 ――気づいた時には遅かった。

 私の置き方が悪かったのだろう。
 肇さんから借りた私の竿は、川に引き寄せられてボチャンと沈み、そのまま川下の方へと無慈悲に流れていってしまった。



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