藤原肇「千夜さん、一緒に釣りに行きませんか?」
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46:名無しNIPPER
2021/10/30(土) 14:54:18.44 ID:/ZuqsV3u0
アイドルを始めたばかりの頃、お嬢さまがしきりに仰っていた言葉を思い出す。
黒埼の従者だけではなく、私にはもっと色々な経験をしてほしいのだと。
「だから……アイドルという珍妙な世界に身を置くようになって、こういう時間が取れるというのも、不思議なものを感じます」
いや――あるいは、お嬢さまの狙いはこの事にあったのかも知れない。
黒埼の家とは違う新たな生活で、それまでの私に縁が無かったものに数多く出会うことを。
「はい」
肇さんは、また短く相槌を打った。
彼女の真意は分からないが、気を悪くされたのなら、誤解を解かなくては。
「社交辞令で言っているのではありません」
慌てて補足すると、彼女は笑いながら首を振る。
「……あっ」
その時、突如肇さんの竿がわずかにしなった。
そしてそれは次第に大きくなっていく。
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