ケネス・スレッグ「厄介なものだな……生きるというのは」
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7:名無しNIPPER[sage saga]
2021/10/16(土) 20:53:40.46 ID:oFH6VTwXO
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

哄笑しながらちらと窓の向こうに視線を向けると丁度地球に降下している最中で、機体によって圧縮された空気中の分子が衝突し真っ赤に熱せられていた。断熱圧縮だったかな。

「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

チッ。哄笑をあげるな……括約筋が苛立つ。

「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

もっと静かに、スマートに降下したい願望。
そうした理想が、パイロット時代からある。
どれだけ華々しい戦果を挙げて帰還しても、大気圏に突入するたびに地球に拒絶されている気分に陥る。重力に引かれて、重くなる。

「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

拒絶されたくなければゆっくり降ればいい。
しかし地球の重力を振り切るためには第一宇宙速度に到達する必要があり、その速度未満の物体は放物線を描いて落下してしまう。故に宇宙に存在するためには速度が必要不可欠。だからどうしようもない。やるせない。

「ふぅ……堪らんな……この下痢の湿り気」

この世の中にはどうにもならない事が多い。

「重力め!」

どうしてこんな思いをしてオチをつけなければならないんだ。どうしたら。どうすれば。
俺は変わりたい。マフティー、お前が俺を。

「変えてくれますよ」
「ギギ……君は何を知っている?」
「マフティーが、大佐を変えてみせます」

奴なら、マフティーならこの重力に引かれて落下する糞すらも変えてくれるのだろうか。
ミノフスキーフライトユニットなら或いは。

「これからが地獄ですね」
「厄介なものだな……生きるというのは」

奴と戦場で手合わせすることを待ち望んでいる俺は、1年戦争から全く成長していないのかも知れないが、大人になりきれない自分というのも存外悪くない。なんとでもなる筈だ。

むしろ俺は、その一筋の光が悦ばしかった。


【下痢便のケネス】


FIN


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