【安価・コンマ 】ロボットのパイロットとして生きる【オリジナル】
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895:名無しNIPPER[saga]
2022/02/08(火) 19:51:10.93 ID:SoPeP1pq0
「じゃあ、ゼウスさんは...?」

『それは本人の口から聞いたほうがいいんじゃない?その方が彼にとっても、この後の展開に良い方向に傾くかも』

そんなエデンの言葉をゼウスは苦虫を噛み潰したような顔で聞いていたが、やがて一つの溜息と共に口を開き、通信を通してカズミに語りかけた。

「...私はかつて特務機関の長官だった」

(い、いきなりトンデモない情報が!?)

「妻と娘にも恵まれ、仕事も順調。まさに順風満帆だった。だが...」

ゼウスの口調が一気に重くなる。

「だがある日、私達が住んでいたところにメルクリウスの鉱床が見つかり、立ち退きを要求された。もちろん従って、引っ越しした。まず最初に私たちを襲ったのは、学校での娘のイジメだ。馴染めなかったのか、他に理由があるのか分からないが、娘はイジメのせいで毎日が辛そうだったよ。だが、その時はまだやって行けてた」

彼の脳裏に娘の顔がよぎる。

「次に襲ったのは引っ越し先での大地震だ。...妻が死んだ。次?娘はこの惨状に耐えかねて自殺したよ」

ゼウスがコックピットの壁を叩いた音、それが無線越しにカズミにも聞こえた。

「娘が死んだことに私は絶望した。だがそれ以上に...私の支えでは足りなかったのか!!!」

部屋の暗闇の中で首を吊った愛娘の姿がゼウスの脳裏にフラッシュバックする。毎晩夢に見る光景だ。

「...後から家族を奪った大地震はメルクリウス採掘のせいだと聞いたよ。だから私はそれを憎んだ。そして自らの死を偽装し、ガーディアンオブエデンを設立した。だが、実際はどうだ?この目の前にいるクソッタレが奪ったんだよ!なあ!何故、あそこにメルクリウスを!?何故地震を起こした!!大勢が死ぬとわかっていただろうがっっ!!」

耳をつん裂くような怒声の後に聞こえてきたのは、変わらない調子のエデンの声だった。

『貴方達も可愛い子には旅をさせよと言うよね?つまり、私は人類を愛している。だからこそ甘やかすだけではなく、時には試練が必要なんだね』

「このっ...外道がァ!!」

ゼウスは必死に指を動かそうとするが、ピクリとも動かない。


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