【安価・コンマ 】ロボットのパイロットとして生きる【オリジナル】
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887:名無しNIPPER[saga]
2022/02/06(日) 22:07:28.66 ID:4RtrxWKy0
──隠れ家──

「エヴァは?」

部屋の奥から出てきた母親に向かってカズミが尋ねた。

「大丈夫よ。ぐっすり眠ってるし、熱もない」

「そっか...」

何とか隠れ家に辿り着いてから数日後、エヴァの体調は元に戻りつつあった。

膝を抱え込み、俯く娘を見て母親が声をかける。

「何はともあれ、皆無事だった。これ以上にいい事がありますか?」

「...いや」

「ならもっと明るい顔をしなさい。くだらない自己憐憫は慌てたお父さんと同じくらい役に立ちませんからね」

「そんな言い草はないだろう...」

カズミではなく父親が落ち込みながらそう呟いた。

「ところで...戦争の状況はどうなってるんだ?」

父親からの質問にアルトは携帯を見ながら答える。

「同僚から聞いたけどほとんど終わりに近いらしい。首都は制圧、ガザレム軍司令部は第二首都に移動したけど戦線の再構築は絶望的。政府首脳部は各地に亡命、中にはセントラル・ソロニティに潜伏してるのもいるとか」

「なるほど...おおかた傀儡政権が樹立して終戦、反対勢力は悪名高い憲兵団によって一掃と言ったところか」

「ああ、それと。今回の戦いは割と早く終わったけど、本当ならもっと長く続いてたらしいよ」

「どういう事だ?」

「本来ならガザレムの特殊部隊が首都の北部から奇襲を仕掛ける筈だったんだってさ。だけど謎の勢力によってそれが掻き乱されたおかげで首都の制圧がスムーズに進んだんだとさ。おかげで軍民問わず被害が軽く済んだって」

アルトはカズミの方に視線をやる。

「なあ、カズミ。お前たちはアタシだけじゃない、もっと多くの人達の命も救った。無駄じゃなかったのさ」

その言葉を聞いて、ようやくカズミは顔を上げた。

「そう、だね」

笑顔とまではいかないが少し表情が穏やかになった末娘を見て家族の雰囲気が和んだが、それはカズミの携帯の着信音によってかき消された。

「...もしもし?」

「私だ」

「ゼウスさん...」

「何やら派手にやったみたいだが、まあ私には関係ない。それよりも今度はお嬢さんが約束を果たす番だ。禁足地で待っているよ」

それはこの世界の運命を変える、最終局面への誘いだった。


今日の更新はこれだけです。
いよいよ次が最終章です。


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