キョン「まるで少女漫画の男の子みたいだな」佐々木「それはキミだろう?」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2021/10/02(土) 21:08:42.24 ID:0P228qqwO
「さて、どうだっただろうね。この世の中にはどうにもならない、どうしようもないことが存在していると気づいたのは果たしていつ頃だったか。残念ながら忘れてしまったよ」

そう言われると俺も記憶が定かではないな。
欲しい物が買えないだの好物が食えないだの幼稚なことはともかくとして、どうしようもない無常感ってのはそれこそ親しい人間の葬式でもなければ理解することは出来まい。

「そうだね。言い換えるなら取り返しのつかない不可逆に直面した瞬間だ。覆水盆に返らずとも言う。やり直せることとやり直せないことの明確な違いを知った瞬間、人間はとても臆病になる。それが成長というものさ」

嫌だ嫌だ。具体例なんざお互い口が裂けても言えないだろうが、それなりに抱えている。
なにせ同じ年月をそれぞれ生きているのだ。
生きていれば誰でも間違えるし失敗もする。
大抵のことはやり直せるし、挽回も出来る機会も訪れるだろうが、例外は存在するのだ。

「キョンは間違えたくないと思うかい?」
「誰だって……そう思うだろう」
「そうだね。でも少し見方を考えれば、これまでさまざまな間違いを犯したキョンが今この瞬間、僕の目の前に存在してると言える」

はっとして佐々木を見つめるとしてやったりみたいな顔をしてシニカルな笑みを浮かべていた。負けを認める。素直に感銘を受けた。

「お前だって、そうなんだろう?」
「そう。お恥ずかしいことにね」

これまで犯した佐々木の数々の失敗とやらが何かは知らないが、それが今の佐々木を作り上げたのだと思えば悪くない気持ちになる。
同じようにそれが今の俺を作り上げたのだ。


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