3: ◆QlCglYLW8I[saga]
2021/09/20(月) 23:42:21.97 ID:7siPWhRxO
僕は漫然と、町中華のテレビを見ていた。昼のニュースは、アメリカの金融政策が変わりそうだとか、上野の動物園でパンダが生まれただとか、そんなどうでもいい話題を流していた。
僕はズズッとタンメンを啜った。塩気と胡椒と化学調味料が効いたスープは少しくどいけど、野菜の旨味が凝縮されたスープは少し太目の麺によく絡んでいた。熱いスープも、年末のこの時期には有難い。
評判通り、悪くない店だな。
その時、画面が切り替わった。ベテランの女性アナウンサーの声が、一気に緊張感のある物に変わった。
「速報です。東京都小金井市のマンション3棟が、倒壊したとの情報が入ってきました。現場から中継です」
倒壊?どういうことだ?
ほぼタンメンを食べ終わり、立ち上がろうとした僕は、テレビに視線を向けた。
記者が震えながらレポートを始めている。混乱からか、記者は噛み気味に原稿を読み上げていた。
「ご、午前11時頃っ、と、東京都目黒区のマンション3棟が、突如と倒壊しましたっ。きゅ、救護活動が始まっていますがっ、百人以上がい、生き埋めになったもようですっ」
記者の背後には多数の救急車と消防車、そしてパトカーがあった。まだマンションが倒れて間もないからか、土煙で画面がくすんでいる。
何かすごいことになっているな、とぼんやり思っていた僕の意識は、数秒後に叩き起こされた。
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