【デレマスss】木村夏樹「ファースト・パッセンジャー」
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9:名無しNIPPER[saga]
2021/09/15(水) 22:28:25.27 ID:TCAbkAPj0
 そして、一次オーディションの当日になった。

「おい、大丈夫かよ? 顔真っ青だぞ?」

 お決まりのリーゼントをバッチリ決めた木村先輩は、平気な顔でよくある棒付きキャンディーを舐めている。多分お気に入りのコーラ味だ。

「いや、だって人前で演奏するのなんて初めてですし、緊張しない方が無理っていうか……」

「そりゃそうだけどさ、せっかくアタシたちの音楽を聴いてくれる人がいるんだから、楽しまなきゃ損だぜ!」

 確かにそうだ。木村先輩のバンドの路上ライブで手伝いをしたとき、演奏に耳を傾けてくれる人もたくさんいたけど、迷惑そうな顔をしながら通りすぎる人の方が圧倒的に多かった。あれに比べれば今回のオーディションなんか余裕だ。少なくとも聴く気がある人しかいないんだから。

 そう思った。思ってしまった。

 係の人に呼ばれてオーディション会場に入る。俺たちの演奏が始まると、審査員の目が変わった。品定めなんて上品なもんじゃない。俺たちの粗を探すように視線を突きさしてくる。僕は、そのプレッシャーに頭が真っ白になってしまった。

 そこから先は何も覚えていない。ただ、「落ちた」という感覚だけは確かだった。


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