あの日出会ったメイドに自分の人生を歩く勇気をもらいました
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名無しNIPPER
2021/09/14(火) 23:11:30.17 ID:rGyABqrXO
ハンドコースと肩のマッサージを合わせたものだ、ということはそこで伝えられた。最近、大学のレポートに追われてパソコン作業が続き、肩が凝っていたのでそれで了承した。
「女の子の指名とかできるんですけど、どうしますか?」
そう言われて、じゃあお願いしますと言いたい気持ちになりつつも、恥ずかしい気持ちがそれより勝った。誰とも話したことがないこの状況で、「じゃあお願いします」と言ったら顔が好みですと告白しているような気がして、それはとても耐えられないくらい恥ずかしく感じられた。
「えーっと、とりあえず無しで大丈夫です、はい」
最後の言葉は自分に言い聞かせるための言葉だった。これでとんでもなく話も合わない可愛くもない子が出て来ても自分のせいだと言い聞かせた。とはいえ、今までに見た人たちはみんな可愛らしくて、誰が出て来てくれたとしても後者の意味で公開することはないだろうと思われた。
指名無し、初めてのコースで〜とレジに立っていた小柄な女の子が計算をして料金を僕に提示した。その金額がこういうお店で高いのか安いのかは理解できなかったけれど、少なくともぼったくりだと感じることは無かった。
その後、彼女が慌ただしく店の奥に進んで行くと、それから間もなく「それではこちらへどうぞ」と奥の方から呼び出された。途中で靴を脱ぐように指示されスリッパに履き替えると、三つの個室が並んでいて、それぞれには腰のあたりまでの少し長い暖簾がかけられていた。どうやらこの部屋でマッサージをしてくれる、ということらしい。
田舎のばあちゃんちにありそうな大きな背もたれのある椅子に座るように勧められて、そのようにすると、彼女は僕に向き合って膝を合わせて座った。
「初めまして、本日はお帰りありがとうございます。チユキと申します」
自己紹介を済ませると頭を下げられて、ただ挨拶をしてくれただけのはずなのに何だか申し訳ない気持ちになった。僕なんか大して金を落とせるわけでもないただの客で、そんなに深々と頭を下げられるような人間ではない。
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