592: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/11/30(火) 08:48:51.03 ID:BuUp22UaO
「東雲さん、そろそろ『様』付けはやめない?」
「大変恐縮ですが、それは万に一つもありえません。わたくしが何方かと親密になることはないでしょう。兄様は例外ですが」
「そ、そっか。うーん。わたしは東雲さんともっと仲良くなりたいんだけどなぁ」
紛れもない本音を伝える。
ただ彼女の意志は堅いようなので……おや?
「……春宮様が、ですか」
少し気まずそうに目を逸らす東雲さん。
露骨な拒否反応、あるいは涼しい顔で「春宮様といえど、例外なく親密な関係になることはありえません」なんて言われるかもと思っていたのに。
これはもう少し押し込めばいけるのか……?
「うん、わたしが。この学校の仕組み上、とても親密というのは難しいかもしれないけれど、放課後とか休日にこうやって遊びに行く位の友達になれたらなって」
「……」
東雲さんと目が合う。
沈黙ではあるけれど、目を見て分かることはある。
弱々しい目。何かに怯えるような、臆病という2文字を訴えかける目をしていた。ちょっと触れてしまえば壊れてしまいそうな脆弱性すら垣間見える。
少し、無理をさせすぎたかもしれない。東雲さん本人が望まないのであれば、わたしたちの関係は同級生でライバル程度に留めておくべきなのだと分かる。
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