507: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/10/30(土) 23:08:45.79 ID:sIx2y35x0
手にはホチキス止めされた数枚の印刷物がある。
「こちらを。企画書になります」
「は、企画書?」
この学校をより良いものにしていくための嘆願書ではなく、企画書。文字やイラストが綺麗に敷き詰められた一見良さそうな資料に見える。
ただ、ここは生徒会室であって会議室ではない。
会長はパラパラと企画書とやらを捲り、
「えーっと。企画書だな、これは。で、なにこれ」
読んでも分からなかったようで、再度尋ねる。
気になったのか乙葉先輩やユキ先輩、内山先輩、新汰先輩がその企画書を覗きに行く。
「簡潔に申しますと、6月2週目の日曜日に特別棟の教室を利用したいのです。担任の教師に確認を取り、五万ポイントで貸していただくことについては承認を得ました。しかし条件として生徒会に許可を取らなければならない、と」
「へー、よく出来てるじゃん。良いんじゃない?」
乙葉先輩を始め、うんうんと頷く先輩方。
そこまでいくと断然と興味が湧いて来る。
「ありがとうございます。参加するのはわたくしを含めて四名。そうですよね、春宮さま」
「え、あぁ、うん。あの件ね」
昨晩話した望月くんとの件。
彼が言っていた同席者とは、薄々予感はしていたけど東雲さんのことだったらしい。確かに大切な人と言っていたからその通りだ。
それにしても教室を借りて何をするつもりなのだろう。わたしは会長席に近付き、覗き見る。
「わたくし共は教室をお借りして『夏祭り』なるものをやってみたく考えております。もちろん安全には最大限の注意を払うつもりですし、花火は致しません。小さな小さな文化祭とお考えいただければ」
言っていた通り、企画書には『夏祭り』の出店によくあるようなお店の名前が並んでいる。
焼きそば、たこ焼き、わたがし、スーパーボールすくい、射的、その他。
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