317: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/26(日) 22:15:50.25 ID:CwWc8uazO
呆然と座るわたしに、彼女は訊いてくる。
「ちなみに、私が誰か分かる?」
「…………………ほんっとうにごめん。わたし、あまりテレビとか見ないんだ。でも、歌は聞いたことある! 何かで聞いたことあるよっ」
「じゃあ次会うときまでには突き止めておいてね」
「うん! そうだ、サイン! サイン欲しい!」
「アイドルのサインは高く付くよ? まぁ、そうね。勉強を教えてくれたお礼ってことで、中間テストの後ならいいけどね」
「やった」
早速、週末にサイン色紙を買いに行こう。
この閉鎖された学園の中でサイン色紙を買ってどうするのか、と何も知らない店員さんは疑問を浮かべるのだろう。しかし実際、目の前にはアイドルがいる。
このサインは大切に保管して、卒業後に家族に自慢しよう。クラスメイトに有名なアイドルが居たって。
浮き足立つわたしはココアのお代わりを淹れることを進言するが、軽くあしらわれてしまう。
「いいって、気を遣わなくて。というか、気を遣って欲しくないの。春宮さんは信用できそうだから明かしたけど、他の誰にも言ってないんだから」
「あぁ、なるほど。有名人だもんね」
「眼鏡をするとかなり印象が変わるタイプでね。多分、眼鏡を外すとすぐにバレちゃう。逆に眼鏡を付けているうちは大丈夫だと思う」
「はぁー。なるほどね」
確かに一昨日、「邪魔だな」と言って彼女は眼鏡を外した。そのワンポイントだけで随分と印象が変わり、どこか見覚えがある気がしていた。
彼女が消極的にクラスメイトと関わらないこと、ひいては勉強会に参加しない理由も正体がバレたくないという思いからなのかもしれない。
【安価です。
1.アイドル活動について
2.この学校に入学した理由
3.歌を教えてもらう(後日、一緒にカラオケで音楽スキルの向上)
下1でお願いします。】
608Res/522.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20