296: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/25(土) 12:53:55.51 ID:TuZ+rf/1O
そういう意味ではわたしが適任で、常人には為し得ないと言えるかもしれない。
「1つだけ約束してください」
「うん、言って言って。まずは聞くだけだけどね」
「1年生から流れてくる噂を全部無視して下さい。それがどんな噂であっても、です」
「噂かぁ。うん、過度なもので無ければおっけーかな。ユキちゃんが誰かと付き合っているとか、そういう個人に迷惑をかける根も歯もない噂でなければ無視してあげる」
「そんなことはしません。ありがとうございます」
「お礼を言われる立場じゃないって。ちょっかいを出しているのはこっちなんだからさ。3年生と2年生、その両方に噂を無視するように言っておく。あとは中間テストが終わった頃に種明かししてくれると嬉しいな」
「はい、もちろんです」
「じゃあ戻ろっか。もう少しで授業だからねー」
フェンスから離れた先輩はわたしの手を取って屋上の扉へ向かう。
足取りは軽く、心の底から楽しんでいるようだ。
ほぼ正攻法に近いこの策は、果たして有効に働くか、そして乙葉先輩を楽しませることが出来るか。
それはテストの結果が出てからのお楽しみだ。
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