294: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/25(土) 12:52:54.19 ID:TuZ+rf/1O
【>>293
5:最後の手段を実行】
昼食後、わたしは乙葉先輩に連れられて特別棟の屋上を訪れた。鍵は掛かっておらず、誰でも屋上に入ることが出来る。それが出来るのは監視カメラ1台と、高いフェンスが色々な問題を解決しているからだろう。
フェンス近くで乙葉先輩は長い黒髪を靡かせ、わたしの方を振り向く。
「何がとは言わないけど、良い線は行っていたよ」
十中八九、ポイントが不足している上級生にポイントを譲渡する代わりに中間テストの問題用紙を手に入れようとしたことだ。
裏から手を回していたことを自白するように乙葉先輩は笑う。
「嫌がらせがしたい訳じゃなくってね。それこそ天音ちゃんが一人で利用する分には良かったよ。でもそれでクラスメイトの子達を助けようとしているのなら、それは反対かな」
「反対……というと?」
「なんていうか、普通なんだよね。ちょっと賢い子が機転を利かせればそれくらいのことは思いつく」
そこで一呼吸を置いて、先輩は続ける。
「あっくんから聞いていたよ。中学3年生の頃に転校してきた1年生の子が天音ちゃんの幼馴染で、彼から君に関することをたくさん教えて貰ったって。当時、小学生とは思えないほど頭が良くて、身体も動かせたこととかたくさんね」
入学式の日、錦山先輩からその事については聞かされていた。幼馴染の平塚邦彦くんが錦山先輩の居た中学校に転校して、わたしのことを話していた。
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