291: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/24(金) 23:44:16.83 ID:1ouIvNPrO
「鈴木先輩、ご相談です。1年生の5月に行われた中間テストの問題用紙を持っていませんか? もし可能であれば4月末に行われた小テストの問題用紙も戴きたいです。もちろんポイントをお支払いします」
一瞬、鈴木先輩は顔をあげてこっちを見た。
わたしと乙葉先輩。その両方に視線を向け、そしてまた視線を定食の方へと落とす。
そんな光景を見かねたのか、隣の先輩が口を開く。
「ま、フツー持ってないよね。くしゃくしゃにしてポイだよ。過去のテストなんてさ。ね?」
「……あ、あぁ。そうだな。花菱の言う通りだ」
どうにも乙葉先輩が姿を現してから鈴木先輩の様子がおかしい。さっきまでは警戒されつつもお互いが持つ武器を見せ合うことくらいは出来そうだったのに…。
乙葉先輩の手前、わたしも強く揺することは出来ない。交渉はたった1度の掛け合いで幕を閉じる。
「そうですか。わかりました。無理を言って申し訳ありませんでした」
わたしは頭を下げながら、状況を整理する。
今回、上級生に交渉を仕掛けたのは中間テストの問題用紙を譲ってもらうため。過去の問題と全く一緒のものが出題されるとは考えにくいが、それでも参考にはなるはずだと考えた。
その対価として3万程度のポイントを失う覚悟は出来ていたが、空振りに終わる。
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