283: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/24(金) 20:29:52.91 ID:1ouIvNPrO
【>>282
7:呼び止めることできず】
5月2日の放課後。
結論から言ってしまうと、雨宮さんと話すことは出来なかった。
ほんの一瞬だけ目を離した隙に彼女は居なくなっていた。、あるいは神隠しを疑うほど忽然と姿を消すものだから大変驚いた。
どこか喪失感を覚えながらも、すぐに切り替えて明日以降の方針を立てる。
まず授業と授業の間の休み時間を利用して彼女に話しかけること。お昼休みか放課後が良いと思っていたが、今日のように彼女が消えてしまう可能性がある。
再来週明けに実施される試験に向けて、ひとまず意思確認だけでも早めに取っておきたい。
そんなことを自席で考えていると、隣の席の一之宮くんが話しかけてくる。
「春宮、勉強会の件なんだが…」
「あ、うんうん。放課後組を担当してくれているんだよね?」
わたしがそう聞くと、彼は一度頷く。
昨年の全国模試で同率2位を取った一之宮くんは、先日の小テストでもケアレスミスで落とした1科目以外は満点を獲得していた。そのため先生役としてはこの上ない適任で、彼も教えることに抵抗は無いようだった─────が。
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