209: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/19(日) 14:01:16.98 ID:wv2ppvvR0
「売られた喧嘩は買う。そしてタダでは済まさない。俺たちが勝てば向こうの奢りで飯だ。神宮、十九時からケヤキモールの焼肉屋を予約しておけ」
「は、はい」
「名義は三年Bクラスの麻倉だ。人数は……」
「今朝の時点で水泳部は27名、生徒会を併せて37名です。顧問の大島先生を入れると38名になります」
「とりあえず40人分の席を取ってくれ。残りは適当なヤツを呼んでおく」
途中、副会長の1人である二年生の佐倉新汰先輩の一言もあり、予約人数が決定する。隣の神宮くんは早速携帯で予約を取り始める。
それにしても、なるほど。
水泳部との競泳対決。勝てば向こうお奢りで焼肉。
非常に魅力的だと思う反面、言及していなかったが負ければこっちの奢りになる可能性は充分にある。それを考えるとやや頭が痛いが、先輩たちの余裕そうな振る舞いからして勝機はあるんだろう。
競泳対決の時点で向こうにかなりの分がある。タイムか距離か、メンバーの選出でハンデが設けられてようやく互角といったところか。
「やるからには勝つ。いや、勝たないとヤバい。この10人で教師を除く37人分を奢りは笑えない」
「ちなみにわたしの残ポイントは0だからね!」
引きつった笑みを浮かべる乙葉先輩以外の面々に対して、本人は満面の笑みだった。よほど焼肉が楽しみと見える。それは勝つことを確信しているから…かな。
何も考えずにノーリスク・ハイリターンを望んでいるのなら、一刻も早くその認識を改めて欲しい。
「どちらにせよこの後は親睦会の予定だった。向こうの奢りになれば、この上なく最高だろ?」
その一言に、新生徒会は盛り上がる。
一方、わたしは頭の中で1人あたりの出費を算出してしまい、どうにも盛り上がれないでいた。
この対決は、今後わたしが人並みな生活を送れるかどうかが決まる重大な分岐点になる。もしわたしが選出されるようなことがあれば、その時は勝利を取りに行くしかないだろう。
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