126: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/11(土) 11:14:08.03 ID:OCYa+xYb0
そんなことできるはずがない。
「だいたい、わたしが協力するとでも?」
「するさ。お前は俺に協力する。そして一千万を貯めるために尽力する。晴れて半年後には、俺と同じクラスになれるってわけだ」
「話になりませんね。わたしに協力する意思はありません。わたしを揺すりたいなら、それ相応の対価があるべきでは? 例えば、四千万ポイントとか」
一クラス一千万ずつ貯めてわたしが彼のクラスへ移動、そして四千万ポイントを受け取れるのなら一考の余地はある。もちろんすんなりとはいかないだろうが、それだけのポイントがあればわたしは元のクラスへ戻れるからだ。
だが実際、四千万ポイントを貯めるなんてほぼ不可能な話。こんなふざけた提案に対して、雲を掴むような話を持ち出せば彼も引っ込むと考えた。
しかし彼は口元を釣り上げ、笑みを浮かべる。
「逆に聞くが、四千万でいいのか? お前には最初の一千万を含めて五千万を払っても価値があると思っている。いや、七千万か八千万か。それくらい払ってもいいだろう」
「じゃあ一億です。それ以外は自分を売れません」
「なるほどな。こうしよう。こうなるとお互いが譲らず青天井だ。一ヶ月後、改めて聞きにくる。そのときにお前が提示した額を払うことにしよう。もちろん三ヶ月やそこらじゃ不可能な話だが、きっとお前にとって悪い話じゃない」
一ヶ月後、またこの人と話すと考えると憂鬱だが、ここは大人しく従っておくべきだろう。
わたしが頷くのを確認すると、彼は身を引く。
塞がれていた席が通れるようになり、わたしは鞄と緩くなったスムージーのカップを手に取り立ち上がる。
「最後に一つ聞かせてください。どうしてわたしに声をかけたんですか?」
「価値があるって言っただろ。それ以上でもそれ以下でもねぇよ」
そう言って彼は立ち去る。
周りの視線を痛いほど浴びながら、わたしは早見さんの鞄を持って後を追う。
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