【安価】ようこそ実力主義の教室へ
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100: ◆yOpAIxq5hk[saga]
2021/09/09(木) 00:49:55.33 ID:gvlgOaLx0

「おわった感じ?」

「ま、そんなとこだ。じゃあな天音。何かあったら相談に乗ってやるよ。年下ながら、邦彦には世話になったからな。その恩をお前に返してやる」

 頼もしい言葉を残して立ち去る背中へ頭を下げる。深々と、五秒、十秒、三十秒、一分と続く。
 ぐちゃぐちゃだった頭の中がなんとなく整理される頃にわたしが顔を上げると、そこには乙葉先輩が居た。
 会長は少し遠くでこちらを伺っている。
 それにしても近い。もう少しで顔と顔が触れる距離だ。

「あの、乙葉先輩?」

「んー、肌綺麗だね。化粧水なに使ってるの? いや、やっぱり年齢の問題かな。まだ十六歳だもんね。あれ、十五歳と数ヶ月だっけ? まぁいいや」

 マイペースに話す乙葉先輩。

「なんであれ、天音ちゃんはまだまだ若いよ。あっくんは君のことを随分と認めているようだけど、わたしからしてみれば君なんてウチの近所に居た子供よりもずっと子供だよ。自分が分かってない。生まれたての赤ちゃんでも君よりは────ん、それは違うか」

 意外と核心を突いてくる先輩にわたしは動揺する。

「新しい環境で、新しい友達と本来の自分を探してみる、あるいは形成してみるっていうのも高校生活の醍醐味なんじゃないかな。幸い、この学校は全寮制で一人暮らしだから、自分を見つめる機会は多いと思う。例えば、料理が出来ない自分をどうにかしていくとかね」

「────はい。ありがとうございます、先輩」

「お、いい顔になったね。うんうん、お姉さん的には、そっちの顔の方がずっと好きだなー」

「先輩のおかげで自分を見つけられそうです。大真面目に自分を見失っていたので助かりました」

「何かあればわたしとあっくんを頼ってねっ! わたしは相談係、あっくんはポイント係だから」



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