【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
1- 20
647: ◆FaqptSLluw[saga]
2024/06/26(水) 23:36:28.03 ID:nzNiyhvc0
「……問い詰めるとか。怒ってるとか。そういうのじゃないんです。ただ聞きたいんです」


 秋風が、スペシャルウィークのブルネットの髪を巻き上げる。

 その奥に見え隠れしていたアメジストの瞳が、俺のことをしっかりと見ていた。

 ……彼女のことを、視界に半分しか入れていない俺のことを。


「私、何かしましたか……? あなたを傷つけることをしたんですか……?」

「……してないな」

「じゃあ、なんで目を合わせてくれないんですか……」


 一歩、スペシャルウィークが近づいてくる。

 一歩、俺はスペシャルウィークから離れる。


「……」

「私が、怖いんですか」

「違う」


 一歩、スペシャルウィークが踏み出して。

 一歩、俺は後ずさる。



「じゃあ、なんでそんなに震えているんですか……?」

「これは……」


 一歩、スペシャルウィークが近づいて。

 かつり、俺はこれ以上後ろへと進めなくなる。

 木々のざわめきが間近に聞こえて、そこでようやく俺は木に背中をぶつけたのだと理解した。


「怖くて、苦しくて震えて。そんな顔をしているあなたを、私はなんでだか”知っている”んです」

「俺は……俺はただ、君に」


 うわごとのようにつぶやいた言葉を、口を真一文字に結んで締め切る。

 それ以上を言ってしまえば、彼女を遠ざけた意味がなくなってしまうから。

 でも、それでも。俺が壁を作っているのにもかかわらず、スペシャルウィークは踏み出してくる。

 踏み入れてくる。いつか見せた、あの行進のように。


「――あなたは、私がなんでこんな気持ちになっているのかを知っている。そうですよね?」


 驚くべき言葉ではなかった。彼女の言葉を聞いていれば、何か想いを抱いていることは明白で。

 だから、その言葉に驚き以外で返したことこそが……俺が、彼女の想いの何かしらのファクターになることは明白だった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
686Res/485.68 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice