【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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464: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/12/27(月) 20:06:01.12 ID:il/KSp010


 数秒の、沈黙が横たわる。

 俺も、マヤノも。なにも口にしない。

 お互いが、発言を、受け止めた言葉を、咀嚼するための時間。

 ……たっぷり30秒ほど経っただろうか。

 マヤノは小さく笑いを漏らして、『トレーナーちゃんはね』と前置きした。


『多分、自分で思ってるよりも……皆に悪く思われることはないと思う、よ?』
「悪く思われることは、ない……?」
『うん。だってトレーナーちゃん、カワイイもん』
「……。良く解らないし、第一カワイイってどういうことだ?」
『そういうトコ』


 再度笑いを漏らすマヤノ。


「……まぁ、精神年齢的には俺より上、ってことだしな」
『え〜? その言い方はヒドいよ〜! まるでトレーナーちゃんより、マヤのほうがおばあちゃんみたいになっちゃう……』


 小さく「実際そうなんじゃないか?」なんて返せば、マヤノは『トレーナーちゃんがそう思うならそうなんじゃなーい?』なんて返してくる。

 ほら、俺の言葉なんてもうあしらわれている。以前なら、ここで頬を膨らませていた……。

 時間の変遷を感じて、俺はすこしだけ、チクリと胸が痛むのを感じた。

 ……俺に時間経過の実感はないけれど、マヤノには時間経過の実感がある。

 言い換えるならば、マヤノは地に足を付けた生き方をして、全うしていて。

 俺は、全うできていない。その差が、俺の胸を痛ませた。

 もしかすると、もう、二度と同じ歩幅で歩けないのかもな、なんて思って――。


――僅かに、いや、かなり強く……そうなってしまうんじゃないか、って確信が得られた。


 何故そう思ってしまったのか、わからない。

 歩けると信じることが、俺には出来るはずなのに。

 まるで”信じる”という機能が抜け落ちてしまったかのように。

 俺は、俺を……信じることが、今このひととき、出来ずにいた。


『……トレーナーちゃん?』


 電話越しに聞こえてくる声が、俺の耳朶を揺らして。

 俺はようやく、夢見るように意識を耳に傾けた。


『そう言えばトレーナーちゃん、マヤ、ふと思ったことがあるんだ〜』
「……思った、ねぇ。なにを?」


 唐突に切り出された話題に、わずかに気後れしながらも。

 俺は続くマヤノの言葉を待つ。まるで、雨垂れが地面を叩くように。

 
『……”夢十夜”って、知ってる?』



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