【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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◆FaqptSLluw
[saga]
2021/12/06(月) 03:08:06.91 ID:vo5qICds0
ゲートが開く音と共に、一気呵成に飛び出たのはサイレンススズカだった。
持ち前の逃げ足で素早く先頭へ躍り出て、後続と5バ身差のリードを築く。
たったそれだけで、目の前に大きな壁が出来るほどの威圧感をリョテイは抱く。
(相変わらず追い掛けたくなるような背中だこって――ッ!)
ターフを鋭く蹴り込み、中団に滑り込むリョテイ。ぬかるんで、僅かにスリップした脚の回転はしかし、スタミナをいたずらに消費させる。
小さく息を漏らし、しかし前を見据えることをリョテイはやめない。僅かにぬかるみだしたターフの土を蹴り飛ばすように走る。
(――序盤から中盤は様子見だ。スズカに離され過ぎない程度の位置につく)
一瞬で思考を終わらせ、前のウマ娘の背中を見つめる。矮躯を更にかがめ、前のウマ娘の体躯で風の抵抗を一度切る。
スタート時点で余計なスタミナを消費している以上、リョテイに余分なスタミナはない。少しでもラストスパートを早く繰り出すことが勝利の鍵。
400mを過ぎてリョテイの位置は14人目。中団でもやや低い位置で走っていた。
(勝負所は下り坂、最終コーナー前……だな)
目の前の2mもの高低差を誇る坂を見据えながら、レースプランを確立させていく。懸念するべき事項は周囲のウマ娘によって進路が阻まれることだが、先行策を取っているウマ娘が多く、その可能性は低いといえた。
このままいけば、中盤から中団から躍り出ることは簡単そうだ――リョテイはそう考え、ひとまず中団でも前気味に位置を付けようと脚を伸ばす。
14着から8着へ、8着から5着へ。こちらを見て対抗意識を燃やすウマ娘のことを僅かに見据えながら、位置を前に上げる。
もちろんそんな彼女のことをどうにかしようとウマ娘たちが動くが、彼女のパワーの前には無力。
体勢を整えることに成功したウマ娘は順位をキープしたが、失敗したウマ娘はスタミナを過分に使用したせいか、順位を落としていく。
2mの坂に差し掛かるころには、もはや走ることが精いっぱいといった様子なウマ娘がほとんど。まともに走れているのは、しっかりとしたレースプランを編み出し、それを施行できたウマ娘だけになっていた。
「……やっぱり敵は、アンタしかいないよ」
坂を上り、二番手を大きく引き離しているサイレンススズカに、リョテイは小さくごちった。
雨が叩きつける音、風を切る音。僅かな声量で発されたその声を聞き届ける者は誰もいない。
もちろん、サイレンススズカにも。
だからこそ、この声を届けるためにも――。
残り800m、坂を下り切った瞬間に。
「撫で切る――ッ!」
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