【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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298: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/10/20(水) 00:44:37.77 ID:ezbV7Ab10

「俺は――」


 一つ口に出して、押し黙る。

 この先の言葉を紡げば、もう後には戻れない気がして。

 この先の言葉を紡げば、俺は少し報われる気がして。

 だからこそ、この先の言葉は、簡単には言えない。


「……キミにとって、あの言葉が大事な意味だったってことはホントに理解してるよ。だからマヤ、聞きたいんだ。キミが何をマヤに伝えようとしてくれたのか……」


 あの日は追い出されちゃったから聞けなかったけれど。マヤノトップガンはそう言って、小さく笑った。

 思わずドキリとするくらいの少女らしさだった。仄かな石鹸の香りも、口をほころばせる所作も、少し高めの声も。

 その全てが、俺に刷り込まれていた。それがそうあるだけで、万全であるかのように。


「俺は、君のことを知ってる」


 もう、だから。いっそ、この口が動くことが正常であると思うのであれば。

 この言葉は紡ぐしかない。口が動いて、伝えるべき言葉を、伝えるだけ。

 今までが狂っていたかのように、それだけで心が穏やかになる。

 魔法だった。秋風と、石鹸と、あと……にんじん色の。


「マヤノトップガン、君は……もし俺が、君のトレーナーだった、と言ったら信じるか?」


 こんな言葉がすらすら出てくるのも魔法で。

 言葉に滞りはない。淀んだ水が清らかになって、滑らかに流れていくかのように。

 口が開く。言葉を並び立てていく。


「例えば、君と共にいろんな舞台に立ったと言えば信じるか? 例えば君と共にいろんなところに行ったと言えば信じるか?」


 例えば。

 俺が約束を果たせなかったと言えば、信じるか?




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