【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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297: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/10/20(水) 00:22:33.19 ID:ezbV7Ab10



「――なんでって、キミがマヤを呼んだんでしょ?」


 首を傾げるマヤノトップガン。俺も首を傾げざるを得ない言葉が出て驚いている。

 そもそもマヤノトップガンの名前を呼んだのはこれが初めて。彼女を呼んだ記憶なんて、俺の何処にもない。

 だが、マヤノトップガンが嘘を吐く理由がないようにも思える。一体どういうことなのだろう……。


「にしても、キミって結構うわきしょーなんだね? 担当ウマ娘がいるのにマヤの名前を寝言で呟くなんて!」
「……寝言?」


 聞き返す俺に、マヤノトップガンは意気軒昂に頷いた。


「マヤノ、マヤノって、マヤのことを呼ぶ声が聞こえたの。なんでかなって思ってそっちに向かったら、キミがベンチで寝てたんだ。――苦しそうに」
「……なるほどな」


 つまり、先ほど見た夢で叫んだ言葉がそのまま口から出ていたという事だろう。

 それをよりにもよって本人に聞かれるとか……末代までの恥だ。


「ねね、どんな夢見てたの?」
「……ただの、普通の夢だよ」
「えー? ここまで話したんだから教えてよー! ごえつどーしゅー? ってやつでしょ?」


 それを言うなら乗り掛かった舟だろ、とツッコミをとりあえず入れて――悩む。

 マヤノトップガンは賢い……というか、非常に洞察力が高い子だ。下手に嘘をついてはぐらかそうとするものならば、直ぐにバレてしまうだろう。


「……やっぱり人に言えないような夢だったんだ?」
「いや、まぁ。いかがわしいってわけじゃないんだけど――」
「――ねぇ、やっぱりキミ、マヤと会ったことあるでしょ?」


 金色の瞳が夕焼けに煌々ときらめいて、そこに俺の見知ったマヤノが一瞬宿った気がした。

 でもそれは明確に違う。勘違いだ。彼女はマヤノトップガンであり、俺の知るマヤノではないのだから。

 ……俺の好きな、マヤノじゃないんだから。


「ねぇ、クリスマスの時、マヤを部屋から押し出したときの言葉、覚えてる?」
「……さぁ、なんだかな」
「覚えててくれてるんだ、嬉しいかも! ヒトメボレって言ってたよね?」


 言われて、ぎくりとする。

 もう会うこともないかもしれない。会うとすればそれは――あのおまじないを使う時だと決めていたから。

 思わずそんな言葉が出た。彼女を困惑させるかもしれない一言だったのに、何故か。

 ……いや、”何故か”なんて白々しい。もう俺は理解しているはずだ。

 マヤノトップガン――彼女のその全てが、俺を「自分勝手に動け」と急かしている。

 マヤノトップガンが光なら、俺はさながらその光に吸い寄せられる蛾だ。

 もう一度話したい、もう一度触れたい、月日を重ねれば重ねるほど、想いは雪みたいに積もっていた。

 そう、俺はもうわかっていたんだ。なんであの時そんな言葉が出たのかなんて。

 あの言葉を吐けば、きっとマヤノトップガンなら俺に会いに来るはずだ、と。そう直感していたからだ。

 俺からは会いに行けない。この意気地なしが邪魔をするのだから。

 だから、あちらから会いに来てもらえれば、あるいは。


「ねぇ、キミ――あの言葉の本当の意味を聞かせてよ」


 俺は、また君に甘えることが出来る。

 甘えてしまえる。


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