【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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270: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/10/06(水) 07:15:31.52 ID:FbABJENh0

「――さて、種明かしをしようか」


 観念したように息を吐き、ルナは破顔する。

 突然の変わりように、俺は思わず「は?」と声をあげる。

 そこには先ほどの剣呑ともいえる雰囲気を醸し出すルナの姿はなく、いつもの彼女がいた。


「驚かせてしまったかな? トレーナーくん」
「……本当に聞きたいんだが、何?」
「これくらいしないと、君の本心を聞くことが出来なさそうだな、と思ってね」


 茶目っ気たっぷりにウインクすら送ってくるルナ。俺は疑問符で頭がいっぱいだ。

 何処からが冗談だったのだろう。それともただ単にからかわれただけなのか。

 それにしても、ルナの話には真実の気配がした。ならば何故、そんな態度を取らなければならなかったのか。

 俺の本心を聞くだけなら、直接――。


「そうか、君は――本心以上に、俺の覚悟を見たかったわけだ」
「ご名答」


 小さく笑うルナは、「まずは座ろうか」と近くにあるベンチを指さした。


「まずはどこから話をしようか。……そうだな、前提として、先ほどまでに話したことは全て事実だ」
「……それはなんとなく理解してたよ。約1000年とはすさまじいな」
「ああ、それなんだが――真実ではあるが、あえて説明していない部分がある」


 ……なんですと?


「確かに私は、ループされるたびに約250年の間、自らの生誕を待つことになる。だが、生誕を待つ間は知能を持つことはない。まぁ、感覚的には気付いたら250年経っている、と言えばわかるかな」
「……つまり?」
「私が産まれ、約2年が経過し物心が付いた段階で記憶が継承される」


 ……つまり、250年間はルナはルナとして存在するけれど、そこに知能はない。

 知能がなければ時間の経過を感じることはない。


「物は言いよう、ってことか」
「トレーナーくんには悪いとは思ったけれどね」


 前々から思っていたことだが、俺はルナに言葉遊びで勝つことができない。

 特に問題ないとは思っていたが、こんな風に弄ばれるならば勉強するのもやぶさかではない。

 少しじとりとした目でルナを見ると、彼女はばつが悪そうに視線をずらす。


「……250年という年月が何か、トレーナーくんは見当がつくか?」
「話題を逸らしたな。――250年前、1770年くらいか……」


 1770年頃と言えば、思い当たる節が一つある。


「"Eclipse first, the rest nowhere"――唯一抜きん出て、並ぶ者なし」
「ふむ、流石はトレーナーくん。勉強も出来ているようだね」


 にこりと微笑むルナだが、これくらいはトレーナーにとって常識だ。

 史上最高の競争バと言えば誰か、と言われれば、様々なウマの名前が上がるだろう。

 だが、最も有名な競争バと言えば、と問われれば、異口同音に人々は3つの名を挙げる。

 エクリプス、マッチェム、そして――ヘロド。

 特に有名なウマとしてエクリプスの名が挙げられるが、その所以が"Eclipse first, the rest nowhere"である。

 即ち、「エクリプス一着、二着なし」。

 エクリプスが他のウマと圧倒的な差をつけたことに起因する言葉だ。


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