【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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24: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/09/05(日) 13:02:09.02 ID:v2+k5mIX0

――ふと、目が覚めた。


 小鳥のさえずりが耳に響いて、朝が来たのだとにわかに思う。

 体を起こして目を開けば、そこは――俺の部屋だった。

 ただ、何かがおかしかった。

 調度品の類を設置していない質素な部屋だが、それでも私物はいくらか存在する。

 ……その私物が、どれも見たことがないものばかりだった。


「……一体何がどうなってるんだ?」


 小さくつぶやいた言葉は、部屋に吸い込まれるようにして消える。

 返答など返ってくるはずもなく、俺はため息交じりにベッドから立ち上がった。

 カーテンを開けば、朝日が途端に差し込んでくる。

 季節は……冬だろうか。僅かに朝露が凍り付いているし、気温も低い。

 先ほどまで夏だったから、余計に今の光景に違和感を感じてしまう。

 いつものように歯を磨き、顔を洗い、朝食を用意する。

 食べ終われば歯を磨き、新聞を軽く眺めていつもの制服に着替える。

 新聞によれば今日は1月の初めらしい。確かにふさわしい雰囲気だと思う。


「……とりあえず、トレーナー室に行くか」


 形成された習慣は、簡単に無くなることはない。俺にとってはトレーナー室にまず向かうのは、極度に強く形成された習慣だといえる。

 何せ体感何年もトレーナー室に通い詰めている。習慣づかない方がむしろおかしい。

 少し滑りやすい石の絨毯を踏み鳴らして、外に出る。気温は低いが、日差しが強い為、そこまで寒くは感じない。

 遠くからはウマ娘たちのトレーニングをする声が聞こえてきそうなものだが、新年早々という事もあって、全く聞こえてこない。

 ただ静かな雰囲気が辺りに広がっていた。

 ……トレセン学園に入っても、外で受けた印象が変わることはなかった。

 この時間帯なら、俺以外にもトレーナーが居るのだが、今日に限っては誰もいない。電気もついていない。まるで誰もがいなくなったかのように。

 いよいよこの空間の異常に気付き始めた頃、俺はようやくトレーナー室にたどり着いた。

 ……何故か、この場所だけ電気がついていた。

 普通なら警戒しそうなものだが、何故か特に感情は沸いてこなかった。

 いつものトレーナー室の様子ではないが、それでも此処にはいるのは当然のこと。

 形成された習慣は、簡単に無くなることはない。俺は自分の考えを思い出していた。


「入るか」


 小さくつぶやいて、俺は扉に手を掛けた。そして、開く。


「……漸く来たね。待っていたよ、トレーナーくん」






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