【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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220: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/10/01(金) 00:01:09.18 ID:53k8qWyp0


 そう言いながら、気持ちのいい笑みを浮かべて、俺の手を取るリョテイ。

 何を、と口に出す暇もなく、俺は彼女に連れ出される。

 教室を、ジムを通り過ぎて――まるで何かを探すかのように、ぐるぐると学園内を回るリョテイ。

 いや、確かにこれは何かを……もっと言えば誰かを探している。


「リョテイ」
「ん、何だよトレーナー」
「……俺を誰に会わせようとしてる?」
「そりゃお前、昔の担当ウマ娘に決まってんだろ」


 まるで挨拶でもするような気軽さで、リョテイはそう言った。


「……会って何をさせようと?」
「会長さんから聞いてんだろ、おまじない」

 
 "トレーナーくん、君がもしそれを望むのであれば、会いたい人の下に出向いてたった一言、こう言えば良い――おはよう、とね。"

 あちらのルナは、確かにそう言った。その発言の意図はわからないが、しかし言う通りに出向き、挨拶したら……俺にとって望ましい何かが起きることは明確に理解できていた。

 でも、望ましい何かが起きることは理解しているが……怖い。


「怖いって顔してんな、トレーナー」
「……そうだよ、怖いんだ」
「何が怖いのか、どうしてそう思うのかはわかんねぇよ。でも、それをやらずに、アンタは前に進めんのかよ?」


 進めるか、と問われて、俺は真っ先に「進めない」と思った。

 多分、どれだけ恐ろしくても、どれだけ怖くても、今の俺なら前に進んでいけるんだろう。

 でも何故か、この心のもやもやは晴らさなければ動けない気がして。


「進めねぇんだろ。わかるぜ」
「……」
「それに、そのおまじないは……一回きりしか使えないのか?」
「恐らくだけど……そんなことはないと思う。多分、何度でも使える」


 だったら、と。リョテイはこぶしを握って力説する。


「アンタにとって大事なウマ娘なのはわかる。そのおまじないが何か……途轍もない変化をもたらすのもなんとなくな。でも、一度くらい試したって誰も文句は言わねぇよ。それに……」
「それに……?」


 考えこむように、俯くリョテイ。

 小さく漏れた息は、彼女の中に沸き上がるやるせなさのような、厚ぼったい感情を吐き出すようにも聞こえた。

 ……少しして、言葉が決まったのか顔をあげるリョテイ。そこには、淡い笑みが浮かべられていた。


「――アンタも、少しは報われていいって、アタシは思ってるんだよ」


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