【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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219: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/10/01(金) 00:00:42.45 ID:53k8qWyp0

「……おい、トレーナー」


 トレーナー室に入るなり、リョテイに詰め寄られた。

 いつもの飄々とした雰囲気ではなく、どことなく真剣さを感じさせる雰囲気。

 俺は思わず背筋を伸ばして、リョテイと相対する。


「……どうかしたのか、リョテイ」
「どうかしたのか、じゃないんだよな。アンタ、自分でわかってないんだろうけど……最近ホントに疲れてないか?」
「この前も休ませてもらったし、そんなことはないはず……だけどな」


 寮までお姫様抱っこされて運搬されたのは、今となってはいい思い出だ。……いや、別にいい思い出もないな。

 あの日、俺は確かにそこそこ充実した休暇を取ったはずだ。疲れも特に残っていないし、考えられる原因が一切ない。

 ……いや、待てよ、そう言えば一つだけある。


「……なぁリョテイ、会いたい人がいて、その人と会うことが出来るならリョテイはどうする?」
「は? んなもん会うに決まってんだろ」
「まぁ、そうだよな。……じゃあさ」
「――要するに、アンタのその顔は、"ループ"からくるモンなんだな」


 たとえ話を続けようとする俺を、リョテイはバッサリと切り捨てる。

 一瞬驚きに思考がフリーズしたが、しかしこれはこれでありがたい。

 ここまで来て回りくどい手段をとろうとする俺自身に若干呆れながら、とりあえずは腰を落ち着けようとソファに座り込む。

 リョテイもついてきて、対面のソファに腰かけた。それから俺は腕を組んで、口を開く。


「ご明察、ってまずは言おうかな」
「わかりやすすぎんだよ、アンタは」


 小さく笑い、同じく腕を組むリョテイ。

 そんなにわかりやすいだろうか。俺は自分の顔をもんだ。


「そういう所作するところも、な」
「……本題に入るぞ」
「へいへい、膨れるなって」


 茶化しながらも、リョテイのまなざしは真剣だ。

 これが口を滑らせるためのジョークであることを、本人も理解して発言していることが見て取れる一幕。

 小さな気遣いに感謝しながらも、しかし俺は――次の句を継ぐのを躊躇った。

 理由は……。


「……あれ、なんで躊躇ったんだっけ?」
「どうしたんだよ、いきなり」
「いや、本題に入ろうと思ったんだけどさ。なんか次の言葉を言うの、凄く躊躇ってさ」


 首をかしげるリョテイ。俺も同じ気持ちである。

 何故そんな気持ちになるのかわからない。

 ……そう言えば、最近こんなことが多い気がする。

 紅茶の時もそうだし、ルナの頭を撫でた時もそう。

 夏、精神世界に送られて、あちらのルナと会話した時からずっとこうだ。

 まるで、何か俺に塗布されていたメッキが剥がれ落ちていくような、そんな薄気味悪さを感じて。


「トレーナー」
「……どうした、リョテイ?」
「アンタが何をやりたいか、手に取るようにわかるぜ」


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