【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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◆FaqptSLluw
[saga]
2021/09/27(月) 01:01:48.17 ID:+3/PprsU0
「……その人は、君にとってとても大事な人だったんだな」
「うん! でも、誰か解らないんだ」
普段なら”わかっちゃう”のにね。
マヤノトップガンは小さくつぶやいた。
その記憶が誰から教わったものなのか判然としないが、しかし何となく……それはもしかしたら、俺のことなのではないか、と思えた。
……それを言ってしまうべきなのだろうか。君のその記憶は、俺から与えられたものだと。
ループのなんて知らない、マヤノトップガンに……?
訳の分からない好意を唐突に向けられて、心持ち穏やかに過ごせる人間は大人ですら少ない。特に、ループしていて、その時に君とは浅からぬ仲だったなどと言われたらどう思うだろうか。
俺がマヤノトップガンだったら、困惑の極みに至るだろう。
だから、言えない。曖昧に、誤魔化すしかない。
「いつか見つかるといいな」
「うん!」
きらきらと輝く瞳で頷かれるのが、痛かった。
「……ん? ねぇキミ、そのケーキどうするの?」
「え? あぁ……一つ余分に買っちゃってね」
「へぇ〜」
まじまじと卓上のケーキを見つめるマヤノトップガン。
……なんとなくだけど、ケーキを食べたいのかな、なんて思って。
俺は思わず、口を動かしていた。
「良かったら食べるか?」
「え、いいの?」
「……ああ。俺は甘いものあまり好きじゃないし、ケーキだって自分を美味しく食べてくれる子に食べてほしいはずだろうしな」
俺の言葉に、マヤノトップガンはキョトンとしていた。
いつもの調子で比喩なんか使っていては、奇妙な顔をされてしまうだろう。
やってしまったな、困惑させたかな。
そんなことを考えていたら、不意にマヤノトップガンが笑い出した。
「面白いこと言うね、キミ。ケーキが話し出すって、そんなことあるはずないよ〜!」
「……悪い」
「え、謝らなくていいよ! 面白い例え方だなって思ったし――なんだか、ホッとした!」
「……ホッとした?」
問えば、マヤノトップガンは少し考えこむように顎に手をやり、そして話す。
「なんだか、とんちんかんな言葉を聞いてると、胸がほわっとなるんだ。それが何でかはわからないけど……」
「……」
「もしかしたら、マヤとキミ、波長が合うのかも!」
冗談めかすような笑顔。何度もそれを見てきたけど、今ほどその笑顔を見たくない瞬間はなかった。
同じ顔、同じ声音で、明確に「私は貴方の思う私ではない」と告げられたようなものだから。
「そう言えばキミ、会長さんのチームのトレーナーさんでしょ?」
「……ああ、そうだ」
「もし機会があったら、マヤも入ってみたいな〜って思うんだけど……」
「機会があれば、考えてみよう」
心の中の暗澹に目を向けられないように、咄嗟に出まかせの言葉を吐く。
その言葉にすら、マヤノトップガンは喜ぶように微笑みを浮かべていた。
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