【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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136: ◆FaqptSLluw[saga]
2021/09/23(木) 14:31:25.53 ID:snrHRKre0

「……良く着いてくるな」
「はッ、アンタにゃ負けられないんでね……!」
「志操堅固。心持ちが優れていることは結構だ」


 キンイロリョテイが速度を上げるも、シンボリルドルフは突き放す。

 ……繰り返しの最中、シンボリルドルフは微笑んでそう言った。

 何処か諧謔を弄するような言葉の調子には、明らかに「だがそれだけで何を為せるのか」と彼女なりに問うニュアンスが含まれている。

 言葉をなぞるように、なおも加速してシンボリルドルフは続ける。


「君は何故勝ちたい。自分の為か、それとも君のトレーナーのためか?」
「そりゃアンタ、決まってるさ――自分の為だ!」
「……トレーナー君に似て嘘が下手だな、君も」


 ふ、とほほ笑むシンボリルドルフ。折り返しとなるポイントにたどり着いた彼女は脚をいったん止め、余興とばかりにキンイロリョテイに話しかけた。


「本当のことを言おうか」
「あ?」
「――君たちの作戦には気付いている。というか、彼のことだから……私が気付くことすらも作戦のうちなんだろう?」


 ま、さすがに解るか、と。キンイロリョテイは思う。

 全てのウマ娘の上に立つ”皇帝”。彼女の強さはフィジカルだけではない。

 そしてそのことは、全てのウマ娘の知るところにあり、トレーナーの知るところでもあった。

 だからこそ、見抜かれるのは承知の上。


「でも、君たちの作戦を理解していても、私は止められない。それを逆手に取ることも出来ない」
「そうだろうな、それが我らがトレーナーの策略だ」
「――私が”皇帝”であることをこうも利用されるとは思わなかったな」


 ”この作戦はそもそもバレる前提のもとに成り立っている”。

 トレーナーから聞かされていた言葉が、キンイロリョテイの脳内を奔った。


「先ほどから聞こえる歓声に交じって、ナイスネイチャの声が聞えた。恐らくは、声を発した場所がポイントの在りか。そうだろう?」
「……へっ」
「君は私と競り合ってポイントを取り終えた段階で、ナイスネイチャがもたらした情報をもとに最速でポイントを獲得する。だが、私はその方法を使えない」
「名声に足を引っ張られたな」
「ああ、まったくもってそうだ――”皇帝”たる私は、誰かが残した轍を辿ることは許されない。常に誰かの前に立ち続ける必要がある」


 ……トレーナーの考えた作戦は、酷く簡単なものだ。

 一定以上のスタミナが備わっているナイスネイチャに外周を、天性のパワーが備わっているキンイロリョテイに内周を担当させる。

 ナイスネイチャはポイントに到達するたびに声をあげ、その位置をキンイロリョテイに知らせる。

 キンイロリョテイが内周を回り終えたら、ナイスネイチャのもたらした情報をもとに、最短距離でポイントを獲得。

 ここで問題となるのは、シンボリルドルフに作戦を察知されることだが――それも彼女が”皇帝”であるが為に特に問題にはならない。

 即ち、シンボリルドルフは大衆からの名声……常にウマ娘の前を往く存在であるという評価の為、ナイスネイチャの後を追い掛けるような真似は出来ない。

 彼女は自分で道を切り開くことを望まれており、仮にナイスネイチャのヒントを用いた戦術に乗るのであれば、その評価は地に落ちることになる。

 ……盤外戦術。それがどの要素でも負けることを悟ったトレーナーが取れる、最善の一手だった。
 


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