32:名無しNIPPER
2021/09/04(土) 19:28:20.49 ID:emvZhRbY0
サヤさんは言いました。
「すみません。イレイナさん」
ぼくがお化け屋敷に入ってみたいだなんてことを言わなければ。
ぼくはただ、遊園地は楽しいところだから、イレイナさんもきっと楽しいだろうと思って」
「サヤさん…」
私は少しずつ正気を取り戻していました。
「サヤさんのせいではありませんよ」
私は黒い妖怪に杖を向けます。
「サヤさんが遊園地を提案してくれたおかげで、私はジェットコースターでバラ色の景色を見ることができました。今、それをお返しします」
私は数々の水玉を杖から出して見せます。
吹き出された水玉はすぐに消えてしまいますが、キラキラと輝き、残った数々の水玉が大広間に広がり、あたりを輝かしい空間に変えていきました。
天井まで数々の水玉が登って行き、吸い寄せられるようにあたって消えて行きます。
私は天井が不自然に揺れていることに気がつきました。
そうですか、出口は天井にあったのですね。
天井に風を吹きかけると、天井は紙のように破れ、外の景色が見えるのでした。
「出口がありましたよ」
私はほうきをとりだすと、サヤさんに呼びかけました。
サヤさんも即座にほうきをとりだし、私とサヤさんはお城の外へと飛び向かいます。
ふと、下を見ると、黒いおばけは笑った顔で送り出すように手を振っているのでした。
「行きましょう、イレイナさん!」
サヤさんの声に気がついた私は、そのまま外へと飛び立ちました。
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