9: ◆iGEcIiQPPHZy[sage]
2021/08/15(日) 22:12:45.76 ID:UdHDSlcF0
「アイドル?」
ここでかつて演奏していた人の中には伝説級のアイドルになった人もいるけど、彼女たちが来たならもっと話題になってるから違うはず。誰だろう。
「演奏の方はまだまだまだ初心者だけどね、気持ちのこもった歌を歌うんだ。そういえば君は昔からアイドル好きだったよね。気に入ると思うよ。いやもしかしたら知っているかもね」
10: ◆iGEcIiQPPHZy[sage]
2021/08/15(日) 22:16:01.00 ID:UdHDSlcF0
『パンとフィルム』とても素敵な歌だった。未熟だけど一生懸命なのが伝わる演奏、そして想いがこもった歌声。
だけど
―最後の言葉消えないままで―
11: ◆iGEcIiQPPHZy[sage]
2021/08/15(日) 22:19:24.25 ID:UdHDSlcF0
「オーナーさん! ありがとうございました」
「あっ!?」
ライブが終わってしばらく後、オーナーのもとへ来てしまった。もう私が会ってはいけないと思っていた子が。
12: ◆iGEcIiQPPHZy[sage]
2021/08/15(日) 22:21:23.77 ID:UdHDSlcF0
そんな中、一人の男性が近寄ってきて頭を下げた。
「今回もお世話になりました。可奈もお疲れ・・・?」
反応的に765プロの関係者、おそらくプロデューサーだろうか。彼もその場の空気の重さに気が付いたらしく言葉が途切れた。そう思ったとき、可奈ちゃんが彼の手を引いた。
13: ◆iGEcIiQPPHZy[sage]
2021/08/15(日) 22:23:22.95 ID:UdHDSlcF0
「先ほどは失礼しました。以前うちの矢吹がお世話になったようで。ほら、可奈」
どこまで説明したかは分からない。だけど私たちの関係性は把握したらしい。私に向かって頭を下げたプロデューサーが可奈ちゃんに何かを促す。
「あ、あの! 先生、これを!」
14: ◆iGEcIiQPPHZy[sage]
2021/08/15(日) 22:25:17.67 ID:UdHDSlcF0
「おや羨ましいね。僕は招待してもらえないのかい」
回答に困る私を見て話を繋ぐためだろうか。オーナーが悪戯顔で入り込んできた。
「あ、オーナーさんごめんなさい! え、えっとプロデューサーさん!」
15: ◆iGEcIiQPPHZy[sage]
2021/08/15(日) 22:27:29.78 ID:UdHDSlcF0
「ははは。慌ただしいね。それで君たちはどういう関係なんだい?」
笑いながらオーナーに尋ねられる。
「実は昔、私の合唱教室に来てたんですけど向いてないってやめさせてしまったんです」
16: ◆iGEcIiQPPHZy[sage]
2021/08/15(日) 22:29:36.08 ID:UdHDSlcF0
「さてここまでライブを見てみてどうだい?」
結局私はオーナーと一緒に可奈ちゃんのライブを見に来ていた。
「やっぱり来るべきではなかった、そう思います」
17: ◆iGEcIiQPPHZy[sage]
2021/08/15(日) 22:36:37.35 ID:UdHDSlcF0
「最後までは聞いていきますが、二度と彼女の視界に入らないように気を付けます」
『Clover Days』という曲を仲間と一緒に歌う姿で共に笑って歩いていける仲間も見せてもらえた。今更私なんて彼女の道に必要ない。
いや、そもそも私が必要だった時なんてなかったのかもしれない。
18: ◆iGEcIiQPPHZy[sage]
2021/08/15(日) 22:42:17.18 ID:UdHDSlcF0
「さて次が最後の曲なんだけど」
しばらくトークを行った後、ピアノの子、確か恵美ちゃんが話をまとめて次の曲の入る気配を見せるけれど何かあるらしい。
「本当だったら私たち3人の曲なんですけど。今回、私のわがままで一人で歌わせてもらいます!」
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