4: ◆iGEcIiQPPHZy[sage]
2021/08/15(日) 22:00:26.01 ID:UdHDSlcF0
確かに可奈ちゃんは確かにこの教室に通っていた。
彼女は本当に歌が好きな子だった。
大してうまくないけれど思いがこもった歌を本当に楽しそうに歌っていた。
そんな彼女が愛おしくどうにか上達させてあげたいと他の子よりも熱心に指導してしまったのが1つ目の過ちだった。
贔屓だという批判、時間をかけても彼女の歌をほとんど上達させられない手腕への懐疑。
まだ駆け出しでそれらの声に反論できるだけの実績も自信もなかった私は2つ目の過ちを犯した。
「あなたは向いていない」
堪え切れなかった私は小学生の女の子に対して最低で最悪の言葉を吐いたのだった。
それは私が彼女に送った最後の言葉になった。
次の回から彼女は教室に来ることなく、親が退会しますと告げに来た。
だから私のおかげで今の彼女があるなんて口が裂けても私は言えないし、彼女を見る資格すらない。
37Res/26.25 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20